自分は一体、どんなイメージを持たれているのだろう。

紗矢花の前ではいつも、よそゆきの顔しかしていない。


裏の自分を知るのは、ごくわずかな人間だけだ。

だからたまに、そのイメージを壊したくなる……。



「紗矢花、これ。気に入るかわからないけど」


隣の部屋から持ってきた、ピンク色の包装紙に白いリボンが掛けられたプレゼントをテーブルの上に置く。


「え。何……?」


リボンをほどき、中の物を取り出した彼女はやっと本当の笑顔に戻った。


「これ、私の欲しかった限定の……!」


紗矢花はクリーム色をした限定物のクマのぬいぐるみを抱きしめ、満面の笑顔を見せる。


「ありがとう、遼」


買うときは何となく恥ずかしさがあったが、この笑顔が見れるなら無理をした甲斐がある。

ぬいぐるみを隣に座らせ、また苺タルトを食べ始める紗矢花。

何を思ったのかフォークに苺を乗せ、こちらへ差し出してくる。


「食べる? 美味しいよ」


無邪気に小首をかしげる彼女は、わかっていてやっているのだろうか。

それとも、全くこちらの気持ちを知らないで誘っている?