「……それは、確かに変だよな」
陽介が恐る恐るといった調子で口を開いた。
「お前さ。ホントに“彼女”なの?」
陽介が痛い所を突く。
紗矢花は陽介の顔を見上げ、目を見開いて固まった。
「彼女になら合鍵ぐらい渡すだろうし、イベントのときはなるべく彼女といる時間を増やす努力はするだろ?」
普通に考えるとそれは、他にも女がいるということ。
紗矢花が本当は2番目で、彼女の座ですらない可能性もある。
「──やっぱり、そうだよね」
再びうつむく紗矢花へ、陽介は元気づけるかのように、ソファの脇に置いていたプレゼントを渡す。
「はい、お返し」
「あ……。ありがとう」
「男なんてそんなヤツが多いんだからさ。諦めて他の男を探すか、そのまま我慢して付き合うかは自分で決めな」
ソファから立ち上がった陽介は、紗矢花の頭に軽く手を置き、あくびをしながら寝室の方へ向かう。
「眠い……。遼、ちょっとベッド借りるわ。30分経ったら起こして」
彼なりに気を遣ったつもりだろうか。
寝室のドアが閉まり、紗矢花と二人きりという幸運な状況が訪れる。



