「……彼氏がそう言うなら、浮気なんじゃない?」

「そっか……そうだよね。遼にも好きな人がいるなら、その人に誤解されちゃうよね」


遼は無言で窓の外を見ながら、コーヒーカップに口をつけた。

窓の向こうでは細かい雪が降り始めていた。

そのまま遼は何も否定しなかったので、もしかしたら私のせいで好きな人との進展がないのかと心配になる。


「じゃあ私、もう二人きりにはならないことにするね」


迷惑になることは、できるだけしたくない。だけど、今までのように会えなくなるのは少し寂しい気がした。


「――わかった。でも、たまには顔出してよ? 陽介か隼斗が一緒なら問題ないよね」

「それなら大丈夫かも」


安心した私はソファの背もたれに体を沈める。

それから少し、私の通う専門学校の話をして、電話を終えた陽介と一緒に遼の家を後にした。


私の肩に降りてきた雪は、すぐに融けて消えてしまった。