雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~


「ね、陽介から見てどう? 遼はいつも優しいし、私のことなんて妹みたいにしか思ってないから、大丈夫だよね?」

「………」


隣に座っている陽介から、返事が戻ってこない。

誰かから連絡でも来たのか、彼は急にスーツのポケットからスマホを取り出しチェックを始める。


「……さあ。遼は……他に好きな女がいるみたいだし……大丈夫なんじゃない?」


メッセージを打つ作業に集中しているせいなのか、すごくゆっくり喋る陽介。


「だよね、よかった」


遼の家の前に到着し、庭の駐車スペースに車を停めたあと、後部座席に置いた紙袋からプレゼントを取り出す。


「はい、あげる。ホストやってるんなら、いっぱいもらうんだろうけど」


シートベルトを外しかけていた陽介へ、忘れないうちに手渡す。


「お、さんきゅ」


彼は営業スマイルのように完璧に整った笑顔でチョコを受け取った。

真っ白い八重歯がかすかに覗く。

この笑顔で女の子を落とすんだろうか。

……私には全然効かないけれど。