雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~




私が通っているのは、デザイン系の専門学校なので、生徒は個性的な人が多い。

キャラクターもそうだけど、服装も派手で奇抜。

専門学校に通う前にいた、デザイン会社の同僚より、ある意味個性派揃いだった。


高卒ではなく社会人経験をしてから入った私は、やはり浮いていた。

それでも18、19ではない20歳以上の人もクラスには数人いて、仲良くなることができた。


その中でも最近気になっている子は、私と同じ年の西崎悠里(ゆうり)

小顔で目が大きく、髪はショートボブで爽やかな見た目だった。



冬休み明け、デッサン教室で隣同士になった私は、彼女の絵をちらりと横目で見ていた。

彼女がイーゼルに向かい描いているのは、先生が連れてきた長い髪を垂らしたモデルの女の人とは全く違う、髪の短い綺麗な人だった。


「その人、誰?」


私が聞くと、悠里は手を止めて儚く笑った。


「それは私も聞きたい。誰だか思い出せないんだけど、夢に出てくるんだ」


悠里は時々、不思議なことを口にする。

それがまた、私が彼女を気にする理由になっていた。


「会えたらいいな……この人に」


そう呟く彼女の瞳は真っ白で純粋だった。

どこか透明感のある彼女を、うらやましく思う。

私はこんなに黒く汚れているというのに。


彼女の白さが眩しすぎて。

その横顔から、そっと目をそらした。