雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~


遼はまだ、好きでいてくれたんだ……。

響のことがなければ即答できたのに。


「ごめん……。返事は、もう少し先じゃないとできなくて」


迷った挙句、私は響の話を遼に聞かせた。

遼はやや時間を置いたあと、

「それなら、彼が迎えに来るまで一緒にいてくれる?」

首を傾け、そう言った。


「……でも。付き合うのは、できないんだよ?」

「それでもいい。一緒にいたい」


彼が私の目を見つめ迷いなく答えたとき、電車がホームに入ってきた。

風に煽られ二人の髪がなびく。


はっきりした答えを出さないまま、私と遼は電車に乗り込んだ。

席には座れたものの、混んでいてひどく窮屈。

遼の体がずっと二の腕に触れていたせいで、私は緊張しすぎて駅に着くまで話しかけることができなかった。