雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~

大きな手のひらの温もりに癒され、目を閉じる。

あのとき響を許していたら、まだ一緒にいられたのかな。

切り捨てるのと許すのと、どちらの方が辛いのだろう――。


「ジン……お願い」


私は涙声で彼にすがりつく。

その言葉が何を意味するか――彼は知っている……。


「無理だ。俺にはできない」


あっさり拒否したジンは、抱いていた私の肩を解放してしまう。


「なんで? 前はキスぐらいしてくれたのに?」


背中に回した手を緩めず、私は上目遣いで彼を見上げる。


「………そんな昔の話は忘れた」


整った眉をひそめる彼は私と目が合った途端、気まずげに顔を背けた。


「……懐かしいね。もう3年以上前になるのかな。あの頃はよくジンに助けられてたよね」


高校生の頃、付き合っていた彼氏と上手くいかなくて相談に乗ってもらっていた。

彼氏と別れて泣いていたときも、ずっと一緒にいてくれて。


「あのときジンの優しさがなかったら、きっと立ち直れてなかったよ。だから……」


ようやく私はジンの体を離し、触れるか触れないかの距離に立つ。