雪色の囁き ~淡雪よりも冷たいキス~

独り言のような台詞に遼はゆっくりと言葉を選ぶ。


「紗矢花がそれで後悔しないのなら、間違っていないと思う」


後悔――。

私は昨夜泣き続けたことを思い出した。

響と別れてよかったという想いが半分。
別れる前にもっと話し合えばよかったと後悔する気持ちが半分。

選んだ道が正しかったのか、自分ではよく分からない。

遼の近づく気配がして、私の髪にふわりと手のひらが触れた。
子どもにするように優しく頭を撫でられる。

ふと、この前の寝室での出来事を思い出してしまい、頬が熱くなる。

気まずくなりかけたそのとき、ちょうど家の前にジンの車が現れた。


「――私、ジンと話してくるね」

「うん……ゆっくりしてきて」


そっと手のひらが離れる。

私は遼の顔も見ず、どこか逃げるようにリビングを出た。