「ちょっと待って……待って、今あたし混乱し始めたから」

「昴?」

「なんでいきなり?」

「妄想ワールドに行ってきます……」


そういえば、今まであの五人組サイドからの話しか聞いてこなかった。

城那さんサイドを、城那さんの気持ちとか、友達を連れて来た意味とかが分かんない。

その理由を知らない。

だって、辰が有無を言わさず追い返して追放したから。


でも、もしその時城那さんが漆を想っていて、それを友達に話したくてその場所に『TEAR』を選んだだけだとしたら……?

自分の話をしに来たのに、勘違いされて追い出された……なんて可能性はないんだろうか?

それで誤解を解こうとして妹の紅音ちゃんを辰のところに送り込んだ。

どうにかして繋ぎとめようとして。


でもその紅音ちゃんですら信頼されず、敬語も外れないまま終わってしまった。

たぶん、敬語が外れてから、信頼されてから、それを伝えようとしたのかもしれない。