「っというわけだから、今日はドーナッツの気分ね!」 「あ、うん」 「どしたの満里奈?」 「え、ううん、何もないよ?」 いつもと同じ、七海との放課後。 でも……なんだか居づらい。 七海はいつもと変わらない。 でも、あたしは――あたしの記憶が、七海との日常を妨げる。 柏原くんと、虹をみた。 柏原くんと、同じものを撮った。 柏原くんと、話した。 柏原が―― 『好きだよ』 ――その言葉で、嬉しく感じてしまった自分が、なんだか七海を裏切ってるように感じて……。 「満里奈?」 ――はっ……