「―…きっ…さ…つき!沙月!」 私を呼ぶ声でハッと 目を覚ました。 「良かった……。 今のは夢だったんだ……」 夢だったことに私は安堵し、 息を吐いた。 今はまだ少し寒い春だというのに 寝汗をかいて布団を少し濡らして しまっていた。 「ほら、早くしないと 新学期、早々遅刻にするわよ!」 私の部屋のドアの向こうから お母さんの声が聞こえてきた。