「お疲れ、薫」



「あ…、英介くん」



ふと教室に入ってきた英介くんは二本の缶ジュースを差し出してくれた。


「お、悪いね」


あたしがお礼を言う前に、けいは奪い取って3秒で飲みきった。そして最後に一言…。



「ぷはぁ〜!」



オヤジかよ…



しかし英介くんはそんなけいにひくこともなく、いい飲みっぷりだね、と笑って褒めてくれた。



「ね、薫。12時から空いてるよね?」



「12時?…どうだったかなぁ?」


とけいを見たら…



「な、なんですか?」


「いいやぁ〜、何も〜!」



頬杖をついてにたぁーとした締まりのない顔でこちらを向いていた。




…完全に酔ってるよ、けい。



「いいじゃぁん!行ってきなよ、文化祭!」



「でも、…受付―――」



「んなもん、うちがなんとかしてやらぁ!」



と、張り切って胸を叩く酔っぱらいK氏。



「じゃぁ、行く?」



改めて英介くんの方を見た。



「うん!行こうっ!その時間になったら迎えにくるから、待ってて」



「うん」



英介くんはそのまま人ごみの中に消えて行った。