『…むぅ。首輪じゃねぇッ!首飾りだ!オシャレだッ!』

「あはは、そうなの?」

私はその首飾りの石を手に取ってみる。
コンちゃんは少しくすぐったそうに身を捻っていた。

この赤い石、何だろう…。
ルビー…?


ハルカちゃんはコンちゃんから片手を放すと、自分の胸元からも同じ首飾りを出して私に見せた。


「あたしも持ってるの。コンとお揃いなんだ~。あたしの世界で山道に落ちてた石なんだけど…」

「そうなの…」


「もう一人、同じ石を持ってる人がいて…、その人を探して、異世界へ行けるって言うこの街へ来たんだ。そしたら、この世界へ来たの。」


ワン!
『キースっていうんだ!最初ハルカとキースの二人だけでお揃いでな?それって、ズルいから俺のも拾って来たんだッ!』

フンッと鼻息を荒げて、得意気にコンちゃんが鳴いた。


『俺たちがまた会えるように「お願いゴト」した石なんだぞ?』

コンちゃんの鳴き声に、ハルカちゃんも柔らかな笑顔で頷いた。


願いのこもった、赤い石。
だから…
大事に、肌身離さず二人とも持っているのね。

あれか…。
『恋人とお揃いのペアリング』

その昔、私もそんな物を持っていた事を思い出した。