「生きる者にとって、心と体は二つでひとつ。その双方が離れようとする時、苦しみが生まれる…」
……ぇ?
リュウさんが言った言葉は、
風の中で聞いたアランの言葉。
何か…
ひっかかった。
「でも、リュウお兄ちゃん!この花畑に来れば元通り治るんでしょ!?」
「あぁ、本来の姿さ。あ、コンちゃんの言葉は通じる様にしてあるよ?アランのご希望で。」
それだけ…?
じゃあ…
じゃあ、どうして?
「だって、どうして!?」
ハルカちゃんは、
そう叫びながら私を見た。
多分、その疑問は私が感じている事と同じなんだと思う。
ワンッ!
『…どぉして、ナオは…「消えかけた」ままなのさッ!?』
そう…、
体は軽い。
透けたままの、私…
「生きる者にとって、心と体は二つでひとつ。体は、器。心とは、すなわち、魂…。」
魂…?
リュウさんは私の目をじっと見て、こう言った。
「…奈央ちゃん。この世界へ来た時から、…お前さんに『体』は、無いんだよ。」
体が、ない…
透けた体。
これが、今の私の…
本来の姿…
そう聞かされて…
心は、ぐらりと傾きかけた。
穏やかな、花の匂いのせい。
案外…平静を保てた。