その日は冷たい雨が降っ

ていた。もう夏も終わり

に近い。

レイはお休みの日で、仕

事が終わった私を迎えに

来てくれた。

場所は菜摘の店で、とい

う事になった。

「お疲れ!」

レイはいつもと変わらな

い。

助手席に座った私は、緊

張を隠せずにいた。

「……うん。」

曖昧な返事をしたが、そ

れからは会話も無く車は

走り出す。

短く感じたその距離は、

長い間会いたかった人の

元へ向かっていた。