君はガラスの靴を置いていく






『あのさ、アイス食べない?ついでに飲み物も代えてくるから』


まるの話が飽きた頃、俺は空になったペットボトルを抱えた。


『………あ、私も行くよ』


俺に続くように千花も腰を上げる。いつもなら別に大丈夫と断るけど今、まると二人にしたら可哀想過ぎる。

千花も多分、相づちするのも疲れただろうし。


俺達は不満げなまるを部屋に残し、一階へと階段を下りた。


『なんかごめんね?普段はあんなに喋る奴じゃないんだけど』

きっと千花が居る事でまるの変なスイッチが入ってしまったのかもしれない。

最初から変だったし、あいつ。


『私は大丈夫、丸山君ってなんか面白い人だね』


千花はクスクス笑っていた。


一階の台所はあまり日当たりが良くなくて、昼間でも薄暗い。俺は冷やしておいたアイスを冷凍庫から取り出した。



『コップここにあるの使っても平気?』


千花がうちの台所に居るってなんかいいかも。
いつもの光景の中に違うものがあるって感じで。


俺はバタンッと冷蔵庫を閉めて、後ろから千花を抱き締めた。


『きゃっ……、み、宮澤君?』


思わずコップが落ちそうになり、俺はそれを元の位置に戻した。千花の髪の毛はとてもいい香りでシャンプーの匂いだろうか。



『……だ、駄目だよ。丸山君居るし宮澤君のお家だし………』


『しーー。下の声けっこう上に響くから』


俺はそう言ってさらに千花を強く抱き締める。小柄な千花は折れてしまいそうなぐらい細かった。