君はガラスの靴を置いていく






俺はうるさい空間から離れて部屋の外に出た。


『もしもし?』

千花から電話がかかってきたのはこれで2度目。
いつも連絡手段はメールだし。


『………あ、宮澤君? 今日の朝メールくれてたでしょ?ごめん、朝から家族で出掛けてて大事な内容だったから怒ってるかなって………』


千花は何故か気を使うようなしゃべり方。
朝のメール?俺そんな大事な事送ったっけ?


確か朝起きて千花にメールをした事は覚えてる。
その内容は………


【千花はいつが暇?デートしようよ】

別に俺にとっては普通のメール。



『携帯全然見てなくて今気付いたの。
………ごめんなさい』


もしかして俺が返信を待ってると思ってたのかな。デートの誘いをして何時間も返事が返って来なかったら不安になる奴も居ると思うけど、

正直俺はそんな女々しい男じゃない。

メールを送った事自体忘れかけてたしね。



『別にそんな事で怒らないから大丈夫だよ。
朝からどこに行ってるの?』


俺はドアに寄りかかるように座った。その向こう側では増田達の馬鹿騒ぎの声がもれてくる。


『ちょっと親戚の家に。宮澤君は?』


もしかしたら千花にもその声が聞こえているかもしれない。勿論、女子達の笑い声も。