それでも明日香は俺の腕を掴む。
『分かってるよ。分かってるけどさ……』
俺がこうゆう事が嫌いなのも、こうゆう女が苦手なのも知ってるはず。
別れた後、お互いすぐに新しい人が出来たし明日香も俺と同じ感覚だと思ったから友達関係になれたのに。
『分かってるなら諦めて。それでも無理なら友達にも戻れない。面倒なの嫌いだから』
きっとこうゆうのを平気で言えるから、俺は冷たいって言われるんだろうな。
明日香はゆっくりと手を離し、目を潤ませた。
『みやと友達でいたい。でも、でもさぁ……』
明日香は駄々っ子のように足をジタバタさせている。それを見た俺は深いため息をついた。
『でも?でもなに?』
すると、明日香はでかい声で言う。
『でもっ!私はみやとまたデートしたり、お泊まりしたり手とか繋ぎたい。あと、キスしたりエッチしたり恋人みたいになりたいの!』
『はぁ?』
明日香の声は廊下に響き渡り、一瞬騒がしかった雑音がシーンとなった。
俺は慌てて明日香の手を引き階段の影へ隠れる。
『お前馬鹿だろ。なに恥ずかしい事でかい声で叫んでんの?』
馬鹿を通り越して心配になってくるわ。
『ごめん、つい。』
明日香は憎めない奴なんだけど俺の気持ちは変わらない。
『とにかく、明日香とは付き合えないし恋人同士にもなれないから。友達関係続けるなら諦めて。
まじで』
俺はこれ以上、大事にならない内にこの場から逃げた。
多分、次は付き合えなくてもセフレに……とかふざけた事言ってきそう。
俺はこんな人間だけど、セフレだけは無理。
だってそれをするだけの関係ってなに?そんなに飢えてねーよ。
それに彼氏、彼女だからセックスは成り立つ訳で、面倒事が嫌いな俺は絶対にセフレなんて作らない。