君はガラスの靴を置いていく




気付くと俺は浅い眠りについていた。

心地いい夢までは見られないけど現実からは少し逃げれるそんな狭間の眠り。

目を覚ますと授業が終わる3分前で先生はまだ戻ってきてなかった。


『痛っ……』

大きく伸びをするとベッドのパイプに腕が当たった。保健室のベッドは小さいし足が伸ばせないから窮屈だ。


『つーかさ………』

と違和感に気付くと俺にピタリと寄り添って眠る悠里がいた。体を小さく丸めて狭いベッドに無理やり入ってきたようだ。


『なんで居るの?』


聞いても答えはない。

狸寝入りかと思ったけど僅かに寝息のようなものが聞こえた。


ベッドならもうひとつあるし、こんな所誰かに見られたらどうすんだよ?


『おい、起きろ。おい……』

俺が引き離そうとした時、ポロリと悠里の目から光るものが流れた。

涙と悠里があまりに不釣り合いで少し時間が止まってしまった。これも作戦なのかどうなのかは分からない。

分からないけど、

いつも私傷ついた事ありませんって顔してるのに、それは人恋しくて泣いてるように見えた。


ったく、寝てる俺に引っ付くほど弱いんじゃねーか。

こういう隙を見せたら男なんてイチコロだと思うけど。


悠里の手はギュッと俺の制服を握りしめて離さなかった。