君はガラスの靴を置いていく





『先~輩っ』


突然背後で気配を感じて振り向くと俺と同じようにビラをかかえてる悠里がいた。


『今一瞬、知り合いの女に見つかったとか思ったでしょ~?』

ケタケタと笑う悠里は他の女子と違って普段通り。これで人の何倍もモテるんだから気合い入ってる女子が気の毒に思えてくる。


『先輩にも1枚あげますね』

悠里はそう言って自分のクラスはビラを差し出した。

確か映画上映とかなんとか言ってたっけ?お互い地味な出し物で楽だけどその分宣伝しないと客は入ってこない。


『へぇ、ちゃんと仕事してるとか意外だわ。てっきり取り巻きがうざいから来ないと思ってたけど』

『そのつもりだったんですけど、私が居ないと客引き出来ないからって。お互いルックスがいいと宣伝に回されちゃうから大変ですよね』

『………』


遠くで悠里に声をかけようとしてる男に今の言葉を聞かせてやりたい。中身は真っ黒だから気を付けろって。


『それより先輩知ってます?豊津先輩ステージでギター引くらしいですよ』

『あー、知ってるけどギターなんだ』

『1番人気のポジションですからね。これで女子が群がって浮気とかしてくれたら面白いのに』


浮気なんてするはずがない。

むしろ女子の視線に気付かず千花しか眼中にないから困ってんだよ。