君はガラスの靴を置いていく





『宮澤が本気出したら5組優勝狙えると思うんだけどな。うちのクラス運動能力高いやつ多いじゃん』


『優勝しても変なトロフィー貰えるだけじゃん』


『担任が打ち上げ代出すってよ』


『どうせファミレスだろ』


それに外で競技するのがそもそも嫌だ。9月だけどまだむし暑いし………って、さっきから文句しか言ってないな俺。


昇降口で靴を履いてる間もまるから“宮澤がやる気を出してくれたら~……”と謎の励ましが続き、その途中で俺の視線が止まった。


『………あ』と先に声を出したのはまるだった。


それは正門に向かって歩く千花の姿。

その隣には豊津聖夜がいた。


2学期が始まってから生徒会の集まりが多くなって千花と豊津先輩の姿をよく見かける。衣替えでブレザーになった千花は少し大人っぽくなっていた。


『競技大会で生徒会も色々決める事があるんだろうね』


あの二人を見かけるとまるは決まって俺に気を使う。


いや、フォローなんていらないし千花を振ったのは俺だからね?俺達が付き合ってた噂も鎮火しつつあるし。


それにきっと先輩も別れた事は知っている。
もし逆の立場だったら間違いなくチャンスだって思う。

だって傷ついた女ほど落としやすいタイミングはない。