『なんか元気なくない?』
その日の放課後、外はまだ雨だった。昇降口で靴を履く俺にまるが問いかける。
『そぉ?』
別に元気がない訳じゃないけど、まるにそう見えるならそうなのかもしれない。
『ばいばい、洋平』
『また明日ね~』
次々と可愛い傘を差した女子達が通り過ぎていった
雨のせいで地面はグチャグチャだし、自転車で帰るのも面倒くさいし誰か迎えにきてくれないかなって感じ。
『あーそう言えば、またあの海のメンバーでどっか行こうって言ってたよ』
『ふーん』
どうせ遊びたがりの増田や悠里が勝手に言ってんだろ。まぁ、まる的には気になる子も一緒だから断る訳ないけど。
『つーか、悠里ちゃんと何かあった?』
『!!』
何の前触れもなく聞いてくるから、思わず傘を落としそうになった。ただでさえ片手運転は不安定なのに。
『なにかって、何が?』
『だって前は悠里ちゃん、宮澤にべったりだったのに廊下ですれ違っても軽く挨拶するだけじゃん?なんか不自然っていうか、逆に何かあったんだなって分かるよ』
確かに俺達は学校内で会っても親しく話したりしない。
悠里も俺も他人のふりは上手いから、人目があるところでは絶妙の距離をとっている……つもりだったんだけどな。