君はガラスの靴を置いていく





何故ズシリと言葉がのし掛かってくるのか、
この響きすぎる視聴覚室のせいだけじゃない。


『私、ずっと宮澤君に距離を感じてた。
隣にいるのにいつも遠くて…………
宮澤君、私に何も教えてくれなかったから』


千花は今までの事を吐き出すよう俺にぶつけた。


『本当は何があったとか、どこに居るとか、誰と遊んでるとか聞きたかった。あの時だって……………
あの公園の時だって、宮澤君は笑って許してくれたけど、本当は怒ってほしかった』

『………』


『宮澤君は不安も不満も言わない。
私に何も聞かないし、何も言わない。

それってね、無関心って事なの』


きっと千花は別れてから何回も何回も考えたんだと思う。俺が今まで考えてこなかった事を。



『私達って初めから同じ気持ちじゃなかったんだね。もしかしたら何も始まってなかったのかも』


千花は最後にそう言って、視聴覚室を出ていった。その目にはたくさんの涙を溜めて。



なんで俺は千花が強い人だなんて思ったんだろ。

別に傷付いてない、付き合った事なんてすぐに忘れるなんて思えたんだろう。


俺はどこかで千花は俺の押しに負けたんだって思ってた。勿論、好意はあったと思うけど。

あの時も、あの時も、あの時も千花は俺の事が好きだった?

いや、多分俺は知ってた。自信があったんだ。

俺に落とせない女はいない、
好きにならせる事なんて簡単だって。


千花はその思惑通り俺を好きになった。


俺の植え付けた好きはいつの間にか俺から離れて、千花のものになっていた。

だから千花が俺をどれぐらい好きだったのか、
どんな風に想っていたのか分からない。


俺には………分からない。