君はガラスの靴を置いていく





『傷ついたんじゃない?糸井さん』

『………』


千花が今までの女とは違うタイプだって事は分かってる。

だからひどい言葉も傷付ける事も一切言ってない。


『言ったろ、上手くやるって』


直接言わなくても、自然に終わらせる方法を俺は知ってる。会わなければ距離は遠くなっていずれ気付く。

あぁ、もう気持ちがないんだなとか
冷めてきてるんだなとか。

そして繋がっていた糸は切れて、
付き合う前のふたりに戻るだけ。



『はぁ………宮澤ってなんでこんな感じなのにモテるんだろ。世の中不公平だよな』

『あー俺もそう思う』


きっと次の女はすぐに出来る。

俺も相手も先の事なんて考えてないから。

今が楽しければいい
今が満たされればいい

俺と長く続かない事も
すぐ終わる事も知った上での関係。

だから責任も覚悟もない。

こんな楽な付き合い方はない。



『ほら、早く課題終わらせようぜ。うちの担任の
ペナルティくそ面倒だから』


『確かに……。答えが合ってなくてもとりあえず埋めとけばいいよね。あーもう夏休みも終わりか。
早かったなー』


そう、もう夏は終わりだ。

9月に入って制服に袖を通したら、二学期がはじまる。