君はガラスの靴を置いていく






『先輩は海で遊ばないんですか?』


千花に返信をしようとした時、隣に悠里が座った。海に来てるくせに日焼けを気にしてるのか上には薄手のパーカーを羽織っている。



『ちょっと休憩。悠里こそ遊んでくれば?その方があいつらも喜ぶし』


『私も休憩です。それより無理やり合流しちゃってすいません。迷惑じゃないですか?』


出た、偽りの謙遜(けんそん)

絶対思ってないし、むしろ迷惑がられた事なんてないだろ。


『ん?全然迷惑じゃないよ』


そして俺も偽りの笑顔。自分に余裕があると探りを入れる余裕も出来るから厄介だ。いつも俺が探る側だけど悠里に探られてるのがよく分かる。



『もしかして彼女とメール中ですか?』

俺はまだ千花に返信できないまま、携帯が止まってる。


『さぁ、どうかな』

これは彼女が居る事を隠したい訳じゃない。知ってるくせにわざと聞いてきたから流してやっただけ。



『先輩、彼女出来たって噂ですよ。同じ学校のけっこう清楚な人ですよね?』


『…………』


なんで夏休み中なのにバレてんだろ。口の軽い増田か、もしくは2人で居る所を見られたか。

まぁ、別にいいけど。隠してた訳じゃないし。