「みんなありがとっ!また来週も良かったら来てねっ」

キラッキラのケイの笑顔。
ふんわり光る亜麻色の髪。

着ているものが黒のジャケットじゃなくて白い服だったら天使と呼べそう。

うおー、可愛い。

きゃーっ、とあがる黄色い声援に答えるケイ。


音楽以外にも人気がある理由があるんだろうね…うん。

まぁもちろん一番の魅力は、優しくて酷いあの唄なんだろうけど。


喧騒の隙間に、まだ唄の余韻と熱を感じた。

耳に残る声。


なんでこんな風に彼らは唄えるんだろう。

その理由が、なんとなくだが分かるような気がして。
薄く微笑んで、シイと目を合わせた。

そしてあまりにも自然と目が合ったので、違和感も壁も感じなくて。
満たされていると実感できた。

その感覚の間にふとあの人の顔を思い出した。

そうすると少し引け目を感じて──過去と決別できない自分が嫌になって笑った。