違う。
私がいつも見る無機質な灰色の景色ではなかった。

きらきらしてた。

きらめきを持った三人の、少年。

「…すっ、ご」

独り言を言う癖が、ここで出た。

──…目の前で、音が舞う。


バンドの足、ドラム。
真ん中よりやや奥と左に寄り、流れるアップテンポを刻んでいる。

ドラムのスティックを踊らせているのは、少年…いや、オトコ。
長めの黒い髪。その隙間から、黒縁の眼鏡が見えた。


バンドの腕、ギター。
多分、右側にいる少年。
明るい髪の毛の色は、金髪に近い。
ギターを見ているのか、視線がやや下で顔がよく分からない。

ギターはメタリックブルー。
そこを巡る指が、繊細に暴力的に動く。


真ん中に、堂々と立つボーカル。
多分、ベース。
バンドの頭と、心臓。

それは透き通るようなナチュラルな亜麻色の髪をした少年だった。

細身の体から、吐かれるものはよく響く声。

彼が持つベースは、鮮やかな赤。
血を駆け巡るような音には、あまりにピッタリな色だ。

三人とも、バンドの制服なのか黒のジャケットを羽織っていた。
控えめに金色の刺繍が入った黒のジャケットは、余計なものを一切寄せつけない深さを感じた。

その余計なものなんて何か、分からないけれど。