9月1日、二学期の始業式。
ニュースまでそんなこと言うなんて、日本全国からいじめられている気分だ。
学校の昇降口で上靴に履き変えた私の肩が叩かれた。
ビクリと肩が跳ねた。触られるのが、怖い。
「シランさんっおはよう!」
「え……あ、お、おはよう」
肩を叩いたのは、確か同じクラスの女の子。
もう二学期だというのに、私はクラスメイトの名前を把握していなかった。
彼女は私の戸惑いを隠した顔を気にせず、明るい声で続ける。
「シランさんってバンドやってたんだねー!ライブ見てびっくりしたよ」
──…また、矛盾と違和感。
「え、私が…?」
「知り合いが出るから見に行ったんだよー!バンドコンテスト!」
彼女はギターを構えるポーズをして、そのエアギターを鳴らした。
「シランさんやってた楽器何?あれちょっと大きめなギター?」
「ううん、ベース」
言った後、自然とそう言ったことに驚いた。
そんな私を知らず、彼女はへぇと横で声を出す。
「メンバーも無茶苦茶イケメンだったねー!音も痺れたよー!」