エングラム




さっきオフにしたんじゃなかったけと、私がううんと唸っていたら、ユウが口元に手をあてながら言った。

「なんだかんだでシイ、シランさんを気に入ってますねぇ」

「なっ…おま──!」

「っ!」

シイが何かを言おうとした前に、思わず私は立ち上がってしまった。

「……あ…」

立ち上がった後に、自分を取り戻す。

三人が私に注目した。
一瞬、自分の思考が止まって

そして──

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

笑っているつもりだ。
謝っているが、私は笑っているつもりだ。

怖い。怖い。近づいちゃ駄目だ。
気に入られたなんて嘘だ。
気に入られるまで近づいちゃ駄目だ。
私が悪い。嫌われたくない。
ごめんなさい。

自分の感情の濁流。手が震える。

「ごめんなさい、ごめ──」

「やめろ」

低い声に体が強張る。

「お前の感情痛いぐらい伝わってきたから。もう良い」

シイが私を見ずに言う。

その姿に、私は冷や汗をかいた。

嫌われた。嫌われたんだ。
謝ってばかりだから。
不気味がられたんだ。

たった一瞬の間に、そう思う。

「違うっ!」