エングラム




「……ぷっ」

噴き出して手で口元を抑えたのはケイ。

「……」

私はビクリと肩をあげ、ケイが無言でぷるぷると震えて──


「あっはっはっはっ!!」

我慢が出来なくなったのか、大きな声で笑い出した。

「シイのちゃん付け似合わなぁーいっ!」

ヒー、ヒーと苦しそうに息をしながらベーシスト兼ボーカリストは笑う。

無言で肩を震わせているのはユウ。
片手で顔を隠し、ぷるぷるしている。
その手の隙間から、くっくっくと笑い声が漏れていた。


「あ、あの…」

冷や汗をかきながらシイを見た。

不気味な黒い笑顔だった。