エングラム




その言葉には、影と重みが感じられて。
なんの言葉も返せなかった。
ただ曖昧に笑った。

「えっとユウさんは──?」

「私も呼び捨てで構いません」

「…えっと、ユウ」

そう言い直すと、ユウは何でしょうと私を見る。

キラキラの金髪はキツネの体毛、目はやはり、キツネを思い出させた。

「ユウの、チカラって?」

尋ねてはいけないことだったかと、聞いた後に思う。

だが出た言葉は、戻らない。

「さぁ…何でしょうねぇ」

ユウが顎に手をあてる。

リアクションに困りシイに視線を投げた。

「なんだっけ…確かにあったことはあったんだがな…」

そう答えて、シイは肩を竦めた。

「なんか思い出せないなぁー」

ケイが、ううんと唸る。

ユウが二人を見て言った。

「それこそが私のチカラなんですよ」