エングラム










──材料を揃え、炊飯器に入ったご飯の量を確認した。


「シラン卵割って」

「うっ、はい!」

「お、殻がない良くやった」

「ふふっ。シイー火加減はー?」

「コンロ触るな頼むからああ!」

「……塩胡椒も適量」

「お前それ粉チーズ!その隣が塩胡椒だ!」

「あ、これですね」

「合ってるけど入れ過ぎ」

「よくテレビで見るみたいに、火ぼわってしてください」

「………火事になっても良いならな」



そんな感じに、とても楽しい料理が終わった。

はっきり言ってドラマのように甘い雰囲気ではなかったが、楽しかった。

シイがやつれた顔をしていたが、食べたらすぐに戻るだろう。

「シイ料理上手いんですね!」

木製のテーブルにチャーハンが入ったお皿や箸を並べながら、お茶を入れるシイに言う。

「お前が壊滅的なだけだ…」

小さく呟かれたそれが聞こえず、首を傾げる。

「ごめん冗談。──疲れた、食おう」

その言葉と共に、コトリと二つコップが置かれる。

お茶で満たされたコップが並んでいるのを見ただけで、何か特別に感じる。