電話の向こうのお父さんに二の句を継がせない。
「その子、家族が出掛けてて留守番なんだって…だからうん、また明日っ!!」
色々と何か聞こえたが、無理矢理通話終了。
携帯電話を折りたたみ、長く長く息を吐く。
「き、緊張した…」
「いやおい。今ので良いのかよ。逆に色々心配なんだが」
お礼を言いながらシイに携帯電話を返す。
「大丈夫です。友達が居ないんじゃないかと心配されたことあったぐらいでしたから」
否定できないかも。
私とあなたって友達?って聞いたら、クラスの子がどう答えるか想像つかないし。
考えてて悲しいけど、この夏休み中遊びの誘いも予定もないし。
「むしろお父さん喜ぶ──」
「シラン」
言いかけた私の声が遮られる。
クラプトンが歌ってる。
「悲観し過ぎだ。友達って確認出来ないからな」
色々と、伝わったらしい。
「お前が思ってるより味方は多いもんだ」
それに、と言葉が付け加えられる。
「オレは絶対にお前の──っておい笑うな」
苦虫を噛み潰したような表情。
僅かに赤い頬。
くれた言葉が嬉しくて、笑ってしまった。



