エングラム




その様子を見ていたユウがおやおや、と楽しそうに言って続ける。

「それにしても、駅前でシイが怒り出したからどうしたのかと思い場所を移してここに来ましたが──」

仲良くなれたようですねぇ。
そう笑う金髪が、光に光る。

「シイが読みとったこと、僕はなんとなく分かるよぉ」

ケイがえへへと笑う。

「ケイさんも人の心が…?」

「ケイで良いってばぁ」

そう言われてもやはり今日会ったばかりで些か抵抗があった。

だが私が、ケイ、と呼ぶとニコリと天使のような笑顔を見せてくれた。

「僕はシイと違うチカラだよ」

へぇ、と驚きを呟く。

「未来が見えるんだ」

そう言ったケイの笑顔に、どことなく影がさしたように見えた。

「…全ての現在は、同時に僕の過去なんだ」