イーグルスについて話しながら電車に揺られ、駅でまた来週と言って別れた。
「ただいまー」
すぐに部屋に入り、私は机の上に置きっぱなしのノートに向かう。
開きっぱなしだったケイから借りた英和辞典。
投げっぱなしだった夏休みの課題。
あぁ、ほんと中途半端。
自分が一つのことがトコトン極められる人だったら良いのに。
軽く溜め息を吐いた時、部屋の外から母の声。
「勉強しなさいよーっ!」
出来たら困りません。
答えず、聞こえなかったことにする。
「受験生なんだからねー」
「分かったってー!」
次いで聞こえた声に適当な返事をする。
もちろん、自分が受験生だって分かってる。
分かってるけどやんないだけ、だって楽しいことは他にもある。
数学の公式覚える時間あったら、スラップの練習をします。
DESPERADOの歌詞に目を落とす。
私には、オウ兄がいる。
死人に口なしとはこの事で、私には無条件で永遠の味方がいる。



