「彼女が僕しか見えないように、僕は彼女以外考えられないから安心して」
あははは、と笑うケイの笑みが少し黒かった。
今のセリフの前半と後半で、少しニュアンスが違うのが怖い。
この展開に置いていかれてる気がする私に、ギターを掛けたユウは言う。
「シイの嫉妬は可愛いですね」
私がそれを聞いてシイを見ると、ケイを掴んでいた手をパッと彼は離す。
シイはその手を口元に運んだ。
照れてるのも可愛いと思って、ふにゃりと顔が緩んだ。
「さぁ練習再開だよう」
ケイがそう言って私に笑いかけた時、すさまじいビートに叩き付けられた。
シイがスティックを縦横無尽に動かしていた。
これには思わず噴き出してしまった。
だって余りにも、ねぇ。
ケイもユウもニヤニヤと笑った。
シイがシンバルを音をしゃああんって響かせたらケイが黒い笑顔で言った。
「エレキドラム少し小さくしろよ、シランちゃんとベース出来ないだろうが」
……直後にシイの繰り出す音は小さなものに変わった。



