エングラム




そんな私たちを見ていたケイとユウは笑いながら会話を続ける。

「なんかもう無茶苦茶ラブラブだよねぇ。シイなんか今にもシランちゃん食べちゃいそう」

「ケイ、シイは純粋なんですよ」

「いやーだって歳が歳だよ。オトナだし…ねぇ?」

ケイと目が合ったところで、さすがに私も突っ込むことにした。

「何の話してるんですか二人とも!」

「え、だからシイの性欲は──」

「黙れお前らぁっ!」

ケイが言いかけたところで復活したシイの突っ込みが入った。

ケイとシイが言い合い始めたそれを

「ほらほら、駅前で色んな人が待っていますよ」

ユウの一言が止ませた。


廃ビルを出た時、隣で歩くシイが私の耳に口元を寄せて言った。

「もうちょっとお前がオトナになったら食べるつもりだ」

そう言ったオトナな彼氏の顔が悪戯っけな笑みだったので、顔が赤くなった。

「……セクハラですよ…」

小さく言い返したら、シイが私にだけしか聞こえないように甘いことを言う。

「可愛いから仕方ないだろ。我慢してんだ」

うわぁ。私今なら溶けられるかも。