エレキドラムはゴムで出来たパッドやメッシュのヘッドがシンバルやバスドラ、スネアなどの代わりに張ってある。
生ドラムと同じように叩くことによって、ヘッドフォンで聞いたりアンプやスピーカーに伝えて電子的に音を出すドラムのことだ。
「高そう。儲かってますね」
彼は人の心を読める能力を使って、うまく商売をしているだろう。
笑いながら言った私に、少しキョトンとしてからシイは答えた。
「有効活用。読んで伝わったイメージの花束作って渡すと喜んでもらえるし、な」
ちなみに五万円とちょっとくらいだったぞ。
そう付け足した。
優しいなぁ、なんてつい口元が緩まる。
シイが口元を手で覆った、照れてる時の癖。
話の方向を変える。
「この曲知ってるか?」
流れていたのは、少し細めのクラシックギターから始まった曲。
太いが優しい男の声。流れるものは英語。
「クラプトン?」
さっきもそうだったから言っただけだ。
「正解」
シイが人差し指をピンと立ててみせる。
「クラプトンのTEARS IN HEAVEN」



