エングラム




「いや駄目かなっ!」

溺れて脚がつった感じ。

ユウのエレキギターで聴いたカノンは、透明で鋭かった。
あんなに細かく音が零れるのに潰れてなんていなくて。

あのクラシックの花みたいな音が、凍り付けにされたような。

私はヘッドフォンを外し、首にかけた。
足りなく感じる世界の音。

「…一億ターブ低いし、ベースじゃ無理かあ」

そう呟いて、再びヘッドフォンを装着。

Come Togethrの自分のパートを弾く。

走れ、音符。


ベースの重み、弦の中を動く指先。



弾きながら、思う。

ハマっちゃったなぁなんて。