16
 俺たちは定食屋でカウンター席に座って、牛丼の特盛りを頼み、料理がテーブルに届くと食べ始めた。


 さすがにさっきトイレで味わった怪奇現象は話題に上らないし、俺自身封印しておこうと思っていたので、淡々と食事を取り続ける。


 店内は一応クーラーが利いていたが、俺たちは特盛りの牛丼を汗を掻きながら食べる羽目になっていた。


 外気と室温じゃ全然違うからだ。


 店内の方が遥かに冷えている。


 俺は食事が順調に喉を通っているのを感じ、


“まだまだ夏バテまではしてないな”


 と思った。


 確かに暑さでやられてはいる。


 ただ、それが結果として体の表面に現れてこなかったので、安心してよかった。


 俺は特盛りの牛丼を食べ終わって、フゥーと息をつく。