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 自宅マンションに帰り着くと、突如線香臭い煙がプーンと漂ってきた。


 誰もいないはずの部屋で一瞬香った煙のにおいは次の瞬間消える。


 だが俺は訝しげに思い、


「誰かいるのか?」


 と問う。


 何も聞こえてこないし、室内はシーンと静まり返っていた。


「誰だ?」


 激昂した俺が暗闇の中で目を凝らすと、鎧兜姿ではなく、ダンダラ模様の服を着せられ、縛り付けられた男が二人いる。


 髷(まげ)は切り落とされ、髪の毛が乱れていた。


“こいつらがあの婆さんの言った今村と綾田の霊なのか……?”


 俺はそう思いながらも、霊と向き合う。


「お前ら、何しに来たんだ?」