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 俺たちは海辺に着いた。


 海岸線沿いで焼けていた砂が、降り出した雨で冷やされる。


 だが、辺りはとても蒸し暑い。


 俺は車道の脇に車を停め、車内で思いっきり体を伸ばしながら、リラックスしていた。


 いつも会社では座りっぱなしなので、たまには解(ほぐ)すのもいい。


 俺がシートを倒して横になっていると、里夏が、


「缶コーヒー買ってくるわね」


 と言って、ドアのロックを解除し、車外を自販機まで歩き出す。


 俺はしばらくの間、黙っていた。


 さすがに連日蒸し暑くて、過ごしにくい。


 特に関東地方は梅雨で、ジメジメとしている。


 いかにも背筋が凍るような話が聞きたくなる季節だ。