Faylay~しあわせの魔法

「涙……」

フェイレイは考える。

空から降る雨は、リディルの涙。それが海を創り、嵐を起こす。まるで悲鳴を上げているように。

そして冷たい氷山。吹雪いて見えなくなる太陽。

『太陽』のない世界。

ぬくもりを失って、凍りつく心……。


フェイレイはザバザバと泳ぎ出した。

「待ってろ!」

何故こんなにも待たせてしまったのかと後悔の嵐だ。

フェイレイがいない間に、リディルの心は想像を絶するほど傷ついていたのだ。

「今、行くからっ……」

襲い掛かる高波に何度も飲まれ、海の底に沈みそうになりながら泳ぎ続ける。

光の指す方へ。

リディルのいるところへ……。



気づいたら、乾いた砂の上に四つん這いになっていた。

パタパタを雫の落ちる大地は、水を吸収するとすぐに乾いてしまう。

顔を上げて辺りを見回す。

見渡す限りの砂漠だった。