妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~

「でも、この子にはもう、高丸っていう名前があるんじゃないの?」

多子が、思い出したように、そはや丸に問う。

「その名じゃなく、新たな名前をつけるのさ。高丸は、さっき死んだ。ここにいるのは、ただの小鬼だ」

多子は、そはや丸の手の平で項垂れる小鬼を眺めた。

「何でもいいの?」

「まぁな。その名を、こいつが受け入れることができればな」

ぶっきらぼうな、そはや丸の説明に、多子は少し首を傾げる。

「いくら名前をつけても、その名をつけられたものが受け入れなければ、契約は成り立たない、ということです。無理矢理従わす方法も、ないわけではないですが」

呉羽の補足を聞きながら、多子は、まじまじと小鬼を見つめた。

「無理矢理従わすのは、可哀相ね」

多子がぽつりと言った言葉に、小鬼が弾かれたように顔を上げた。

「ねぇ、あなたの得意なことは何?」

扇で口元を隠し、多子は顔を上げた小鬼に問うた。

「と、得意なこと・・・・・・?」

「強盗・強奪・人殺し」

すかさずぼそりと言ったそはや丸に、多子の目が険しくなる。

「こ、こらっ。余計なこと、言うでないわ。この小さいナリでは、そのようなことできぬ」

慌てて否定し、小鬼はう~ん、と考えた。