妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~

「鬼の指は、大抵三本なんだよ。人間の五指のうち、知恵と慈愛がないからだ。が、稀に四本指の鬼がいる。それが知恵を持った鬼ってことなんだよ」

「ふぅん・・・・・・。でも、考えようによっては、知恵があったほうがいいんじゃない? 知恵があるほうが、使い魔としても、役に立ちそうだわ」

そう言うと、多子は呉羽を見上げた。

「お姉様。この鬼、私にくださらない?」

「はぁ?」

呉羽は思い切り眉間に皺を寄せて、多子の顔を見た。

「正気ですか? 鬼を傍に置くなど」

「だってその鬼、烏丸には逆らえないのでしょ? 烏丸は右丸の中にいるんだし、右丸はうちの従者(ずさ)よ。だったら危険はないんじゃない? それでなくても、さっきお姉様は烏丸との関係がなくても、烏丸のほうが強いって言ってたじゃない。だったら、害はないでしょ?」

全く、何を言い出すのだ。
呉羽は眉間に皺を刻んだまま、多子を見つめた。

「姫さん専属の使い魔か・・・・・・。いいんじゃね?」

そはや丸が、軽く言った。
ちらりとそはや丸を見た呉羽に頷き、彼は多子に念を押す。

「だが、名の契約を交わせればな」

「名の契約・・・・・・。お姉様と、烏丸みたいなものね?」

頷きつつ、そはや丸は呉羽から小鬼を受け取ると、自分の手に乗せて多子の前に差し出した。