「まぁこの状態では、別に主従関係を決定しなくても、烏丸のほうが、強そうだけどな」
呉羽は手に持った小鬼を、ぶらぶらと振って言った。
「主従関係は、大事だよぅ。だってその鬼、指が四本だもの」
「まぁそいつも、仮にも‘悪の高丸’と呼ばれた鬼だ。ただの物の怪とは違うだろうな」
そはや丸が、烏丸の頭をわしわし撫でながら言う。
「何? 何のことだか、さっぱりわからないわ」
多子が、呉羽の袖を引っ張って、頬を膨らませた。
「先の浄化で、この小鬼は、烏丸には絶対勝てないとなったわけです。角を失うことで、このように小さくなり、大した力もなくなりましたが、知恵がありますから、しっかりとした主従関係を結ばずおくのは危険だと、烏丸は言いたいのですよ」
「知恵がある? おっきくなって、暴れてたから?」
「それだけだったら、むしろ知恵のない物の怪だぜ」
そはや丸が、呉羽の手の中の小鬼の手を乱暴に引っ張って、多子の目の前に突き出す。
「い、痛いっ! わしの小ささを、考慮せんかっ」
「黙ってろ。ほれ、この手、見てみな。指が四本だろ」
容赦なく小さな腕を引っ張られ、非難の声を上げた小鬼に冷たい視線を投げ、そはや丸は小鬼の手を開いて見せる。
呉羽は手に持った小鬼を、ぶらぶらと振って言った。
「主従関係は、大事だよぅ。だってその鬼、指が四本だもの」
「まぁそいつも、仮にも‘悪の高丸’と呼ばれた鬼だ。ただの物の怪とは違うだろうな」
そはや丸が、烏丸の頭をわしわし撫でながら言う。
「何? 何のことだか、さっぱりわからないわ」
多子が、呉羽の袖を引っ張って、頬を膨らませた。
「先の浄化で、この小鬼は、烏丸には絶対勝てないとなったわけです。角を失うことで、このように小さくなり、大した力もなくなりましたが、知恵がありますから、しっかりとした主従関係を結ばずおくのは危険だと、烏丸は言いたいのですよ」
「知恵がある? おっきくなって、暴れてたから?」
「それだけだったら、むしろ知恵のない物の怪だぜ」
そはや丸が、呉羽の手の中の小鬼の手を乱暴に引っ張って、多子の目の前に突き出す。
「い、痛いっ! わしの小ささを、考慮せんかっ」
「黙ってろ。ほれ、この手、見てみな。指が四本だろ」
容赦なく小さな腕を引っ張られ、非難の声を上げた小鬼に冷たい視線を投げ、そはや丸は小鬼の手を開いて見せる。


