妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~

ぽんと跳ねて、少し離れたところに倒れた小鬼に、きゃあっと悲鳴が上がる。

「あ、多子様?」

すっかり存在を忘れていた。
呉羽の声を合図に、多子と烏丸が姿を現した。

「お姉様っ! 大丈夫? ・・・・・・って、きゃあっ! お、お姉様!!」

多子が、呉羽に駆け寄ろうとし、足を止めて狼狽えている。

「どうか、なさいましたか?」

訝しげに多子を見る呉羽に、多子は真っ赤になって訴えた。

「どうかなさいましたかじゃないわよ! お姉様、ご、ご自分の格好が、わかってるの?」

言われて視線を落とすと、なるほど、露わになった上半身には返り血が飛び、着ていた単(ひとえ)は、高丸の爪にでも引っかかったのか、ぼろ切れのように片腕に絡まっているだけだ。

「ああ、烏丸っ。絶対右丸を、表に出しちゃ駄目よ! お姉様のこんな姿見たら、鼻から体中の血を、全部噴き出してしまうわ!」

「それはそれで、面白そうだけどな」

言いながら、そはや丸が歩み寄り、自分の着物を脱ぐと、呉羽に被せる。

「お前の着流しでは、袴には合わんなぁ」

呉羽はそはや丸の着物に腕を通すと、無造作に袴を脱ぎ捨てた。

多子は、単一枚のそはや丸に、熱い視線を投げている。
自分の着物を脱いで呉羽に寄越すという行為が、また多子の妄想に火を付けたようだ。