「何故男の声がする。女子(おなご)しか招かなかったはず」
地の底から響いてくるような低い声が、闇を震わせた。
呉羽は奥に浮かぶ几帳を、射るような目で睨んだ。
「おい、烏丸。お前、どういう妖術なら使えるんだ?」
几帳から目を離さず、呉羽はぼそりと問う。
「えっと。あ、隠れるのは得意」
「隠すのは?」
「それも得意」
呉羽は多子を抱く手に力を入れ、そっと後ろに押した。
「よし。じゃあ、多子様と一緒に、隠れていろ。お前の着物の懐に、式神が入っている。何かあったら使え。多子様、烏丸と、大人しくしていてください。式の使い方、覚えていますね?」
頷きながらも、多子の手は呉羽の着物から離れない。
「お、お姉様は・・・・・・?」
「わたくしは、大丈夫です。これが仕事ですから。烏丸も物の怪ですから、少しは力があります。彼と一緒にいてください」
多子の手を離し、呉羽は立ち上がった。
呉羽の動きに、奥の灯りがゆらりと揺れる。
地の底から響いてくるような低い声が、闇を震わせた。
呉羽は奥に浮かぶ几帳を、射るような目で睨んだ。
「おい、烏丸。お前、どういう妖術なら使えるんだ?」
几帳から目を離さず、呉羽はぼそりと問う。
「えっと。あ、隠れるのは得意」
「隠すのは?」
「それも得意」
呉羽は多子を抱く手に力を入れ、そっと後ろに押した。
「よし。じゃあ、多子様と一緒に、隠れていろ。お前の着物の懐に、式神が入っている。何かあったら使え。多子様、烏丸と、大人しくしていてください。式の使い方、覚えていますね?」
頷きながらも、多子の手は呉羽の着物から離れない。
「お、お姉様は・・・・・・?」
「わたくしは、大丈夫です。これが仕事ですから。烏丸も物の怪ですから、少しは力があります。彼と一緒にいてください」
多子の手を離し、呉羽は立ち上がった。
呉羽の動きに、奥の灯りがゆらりと揺れる。


