妖(あやかし)狩り~外法師・呉羽&妖刀・そはや丸~

「おい烏丸。お前は一応、物の怪だろ。物の怪のくせに、物の怪が怖いのか?」

妻戸にもたれかかって、そはや丸が言う。
この男には、全く緊張感がない。

「だっておいら、まだ簡単な妖術しか使えないもの」

「でもま、妖術が使えるだけでも、よかったよ。あ、でももしかして、鳥目だったりするのか?」

烏丸の頭をわしわし撫でながら言う呉羽に、烏丸は、少し不服そうに顔を上げた。

「おいらは天狗であって、烏じゃないよ。確かに烏になれるけど、妖(あやかし)だから、普通の人間よりは、闇は見通せるよ」

「そうか。それだけでも助かるよ」

烏丸は、呉羽に褒められて、嬉しそうに笑った。

「じゃあそろそろ、俺は刀に戻るかね」

何かを感じたらしいそはや丸が、妻戸から身を起こした。