「う~ん・・・・・・、特に何も見えねぇな。中に入ってみるかい?」
言いながら、そはや丸が妻戸に手をかけたそのとき、空がいきなり黒くなり、大粒の雨が庭に立っていた呉羽たちに降り注いだ。
「な、何?」
多子が、あからさまに怯え、呉羽の腰にしがみつく。
無理もない。
つい先程まで、夕日が綺麗に照っていたのだ。
雨など、降りようもない。
そはや丸のほうへ歩き出した呉羽に、多子が慌てて問う。
「お、お姉様。中に入るの?」
「ここにいたら、濡れ鼠ですよ。とりあえず、簀の子まで」
まぁおそらく、そういうわけにもいくまいが。
思いながら、怯える多子を連れ、呉羽は階(きざはし)を駆け上がった。
妻戸の前で、呉羽は多子を庇うように抱き寄せる。
呉羽の腕の中で、多子が、ぶるっと身体を震わせた。
「寒いですか?」
呉羽の問いに、多子は首を振った。
「違う・・・・・・。怖いの。凄く怖い‘気’が・・・・・・」
「お姉さん。おいらも感じるよ。ここにいるの、人間じゃないよぅ」
烏丸も、呉羽の袖を掴んで言う。
言いながら、そはや丸が妻戸に手をかけたそのとき、空がいきなり黒くなり、大粒の雨が庭に立っていた呉羽たちに降り注いだ。
「な、何?」
多子が、あからさまに怯え、呉羽の腰にしがみつく。
無理もない。
つい先程まで、夕日が綺麗に照っていたのだ。
雨など、降りようもない。
そはや丸のほうへ歩き出した呉羽に、多子が慌てて問う。
「お、お姉様。中に入るの?」
「ここにいたら、濡れ鼠ですよ。とりあえず、簀の子まで」
まぁおそらく、そういうわけにもいくまいが。
思いながら、怯える多子を連れ、呉羽は階(きざはし)を駆け上がった。
妻戸の前で、呉羽は多子を庇うように抱き寄せる。
呉羽の腕の中で、多子が、ぶるっと身体を震わせた。
「寒いですか?」
呉羽の問いに、多子は首を振った。
「違う・・・・・・。怖いの。凄く怖い‘気’が・・・・・・」
「お姉さん。おいらも感じるよ。ここにいるの、人間じゃないよぅ」
烏丸も、呉羽の袖を掴んで言う。


